宮部みゆき氏の「子宝船」を拝読しました。
岡っ引き見習い北一と相棒・喜多次が事件に立ち向かう捕物帖シリーズ第2段。
さえないけれど、丁寧に暮らしていこうと心がける主人公・北一。
亡き親分の生業だった文庫を作って売りながら岡っ引き見習いとして日々奮闘。
そんな彼が遭遇する、連作短編集である。
どれも怖い。
人 の情念に震えあがる。スッキリ解決! という事件はない。どれもが因縁絡みで、人々の、そして読み手の胸に澱を残していく。
ただスカッと楽しい! とは言い切れないけれど、何かの拍子に思い出す、忘れられない作品群である。
想像ができる、という点で人生を重ねた読者の方が、よりいっそう怖い作品ではないだろうか。
第一作では明かされなかった面々の正体みたいなものが、少しずつ分かるのが嬉しい。
時代小説とミステリとホラーを掛け合わせたような作品である。
年末年始、じっくり世界にひたるのもおすすめでございます。
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