蝉谷めぐ実氏の『おんなの女房』を読了しました。
ブクロブでも書いたのですが──
文政の江戸、歌舞伎女形へ嫁いだ志乃が、厳格な武家世界から芝居の世界へ放り込まれて奮闘し、そして──という物語である。
デビュー作『化け物心中』も圧巻の芝居の世界を描いたけれど、本作でも胸が苦しくなるほどの芸の世界が描かれている。見事。
生物学的には男であるけれど、芸の世界では『女』を演じる女形の夫。
その女房はどういうスタンスであるべきか、終始問い続け、もがく主人公に同調させられる。経路の違った女形の女房が対比として二人出てくるのが面白い。
そして迎える終盤、ラスボスはこれか! と思った、さらなる!? と、最後の最後まで息を飲む物語なのだ。
冒頭は蝉谷節というか、やや癖がある文体だ。それをすぎたあたりはこの言い回しが心地よくなってくること請け合い。
芸に打ち込むことの切実さをたっぷりと味わえる1冊です。
例によって、作品画像がなぜかついてこないため、さみしいから、拙作イラストを載せておきましょう。今月中にエブリスタさんで連載を開始するはずの青春ラブ。
連載開始の暁にはどうぞよろしくお願いいたします。
(画像クリックで拙作HPへジャンプします)
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